【研究論文】カワラタケ菌床における、カワラタケ菌が蔓延しない部分についての研究

2020年2月19日 現在 ㈱佐藤菌苑

題名

カワラタケ菌床における、カワラタケ菌が蔓延しない部分についての研究

 

要約

本研究は、クワガタ幼虫の餌となるカワラタケ菌床において、カワラタケ菌が蔓延しない箇所の検証を行い、詳細を追及することで、カワラタケ菌が蔓延しない箇所を撲滅することが目的である。

 

序論

本研究は、クワガタ幼虫の餌となるカワラ茸菌床において。カワラタケ菌が蔓延しない箇所の発現を機に始まった。カワラタケ菌の蔓延しない箇所があることで、商品として販売することが厳しくなってしまったという背景がある。

当該箇所の発現原因は、真正細菌目バチルス科バチルス属の枯草菌の影響であると仮定し、その撲滅を目指し、詳細追及をすすめることで、二点の要因まで絞り込むことができた。そして、実際に菌床を製造し当該箇所の撲滅に成功した。

ここで言う二点とは、①殺菌時間および温度。②水分量のことである。以下、その実証法について述べることとした。

 

準備(予備知識:枯草菌に関する情報)

真正細菌目バチルス科バチルス属の細菌をいう。土壌,枯草など広く自然界に分布する細菌。枯草からよく分離されるのでこの名がある。英名もそれに由来する。好気性の杆菌で,耐熱性の胞子を形成する。グラム陽性。生細胞は0.7~0.8μm×2.0~3.0μm程度の大きさで,周鞭毛により運動する。胞子は細胞の中央または中央よりやや離れたところに形成され,卵形または円筒形である。胞子は数時間の煮沸にも耐えるので,胞子の滅菌は高圧滅菌によらなければならない。液体培養では表面にややしわのある皮膜を形成する。

枯草菌芽胞を完全に除去するには、オートクレーブ滅菌(121℃、2気圧、15分以上)や乾熱滅菌(180℃、30分以上など)、濾過滅菌など、「滅菌」と呼ばれるレベルの殺菌処理が必要である。

参照:デジタル大辞典など

 

本論

具体的な方法として、序論で述べた二点について述べることとする。

①殺菌時間および温度について

2020年1月14日 菌床培地を高圧殺菌釜にて殺菌した。その際、通常119℃で70分のところ、20分多くし90分とした。この温度操作の目的は、殺菌効果を増幅させることにある。

2020年1月15日 カワラタケ種菌を接種した。

2020年2月11日 培養が完了した菌床を確認したところ、カワラタケ菌が蔓延しない箇所は見当たらなかった。

2020年2月19日 総数331床の内、菌蔓延しない箇所が発現した菌床は、1床だけだった。

 

②水分量について

2020年1月27日 オガ詰め込み時、通常1床2,200グラム平均の菌床培地に水を加えて、1床2,450グラム平均とした。通常よりも多く水を加えた理由は、熱伝導率を良くし殺菌効果を高めるためである。水分が少ないと、菌床内の中心温度は、釜内が119℃になったあと、さらに50~60分後に同温に到達する。高圧殺菌釜の殺菌温度は通常。

2020年2月13日 培養が完了した菌床を確認したところ、カワラタケ菌が蔓延しない箇所は、見当たらなかった。

 

結論

本論で述べた①②の方法により、カワラタケ菌が蔓延しない箇所の撲滅に成功したと言える。

 

 

 

 

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